昨年法人を設立しました。
法人を設立すること自体はスムーズにできましたが、銀行口座の開設には非常に苦労しました。
法人口座が作りにくくなっている理由と、私が法人口座開設のためにしたことをお話しします。
なぜ銀行は法人口座の開設に厳しいのか
近年、マネーロンダリングや投資勧誘詐欺等の犯罪に法人口座が悪用されるケースが増えているようです。
個人口座よりも法人口座の方がなんとなく信用できると感じる人が多いことが理由だと思われます。例えば、投資詐欺のターゲットの人が振り込むときに、振込先が個人名義だと怪しいと思うけど、株式会社〇〇だと怪しまないみたいな感じでしょう。
自行の口座が犯罪に使われたとなると銀行の信用問題となりますので、事業の実態が見えない会社には口座を作らせないという流れになっています。
最初に挑戦したのはゆうちょ銀行
私が最初に法人口座の開設申込をしたのは、ゆうちょ銀行です。
なぜゆうちょ銀行を選んだかというと、ネットバンク手数料が無料(ネットバンク手数料って意味不明です)ということと、比較的審査が通りやすいという噂(ネット記事)を見たからです。
(以前はゆうちょ銀行で社会保険料の口座振替ができませんでしたが、現在はできるようになっています。口座振替ができないなら、候補からは外れていました。)
噂を真に受けた私は、まずは、ゆうちょ銀行のウェブサイトで必要書類を確認して揃えました。(出資者名簿はエクセルで簡単なものを作りました。)
必要書類を持って、口座開設手続きに天神の中央郵便局へ。
通常の銀行と違って、ゆうちょ銀行には「支店」という概念がありません。
株式会社ゆうちょ銀行の貯金事務センターは全国に何箇所かあるのですが、銀行窓口業務を日本郵便株式会社に業務委託しており、我々の窓口になるのは郵便局です。
貯金窓口のある郵便局であれば、どの郵便局でもゆうちょ銀行に関する手続きを行うことができます。
ただし、法人口座の開設のようなマニアックな手続きになると、そのへんの小さな郵便局だと慣れていない可能性が高いので、大きな郵便局に行った方が無難です。
窓口の方に法人口座を開設したい旨を伝えると、申込書と印鑑票と「お取引目的等の確認のお願い(兼お取引に関する届出書)」という書類に記入してくださいとのことでしたので、記入して提出します。
(この「お取引目的等の確認のお願い」が重要だと思われますので、後述します。)
必要書類が揃っているかの確認をしながら、記入事項についていくつか口頭で確認されました。
申込手続きはスムーズに終わり、「こちらで審査はできませんので、貯金事務センターにて審査を行い、後日審査結果を郵送します。」ということでした。
「窓口ではなく貯金事務センターにて審査を行う」というのが、ゆうちょ銀行の特徴です。
良くも悪くも形式的な印象を持ちました。ゆうちょ銀行で口座を開設できるかどうかは、資本金額や事務所の場所等である程度機械的に決まるものと思われます。窓口の方にいくらアピールしても効果は薄いでしょう。
結果は、失敗……
申込からちょうど1週間後に郵便が届きました。
税理士試験の科目合格発表のようなドキドキで封を開けたのですが、「総合的な判断により、お受け致しかねる」ということでした。私はゆうちょ銀行から信用を得ることができなかったのです(泣)
気をつけておいたほうが良さそうなポイント
窓口の方ではなく、直接会わない貯金事務センターの方が審査を行う以上、ゆうちょ銀行の審査では書類の比重が高いと思われます。
口座開設申込時に提出する「お取引目的等の確認のお願い」では、資本金額や年間売上高、主たる事務所その他の事項についてチェック形式で回答するようになっていました。
例えば、「資本金・出資金」でいうと、
□なし □100万円未満 □100万円以上~1,000万円未満 …
「主たる事務所」でいうと、
□賃貸 □レンタルオフィス・バーチャルオフィス □代表者自宅 …
というかんじです。
資本金額は100万円未満よりも100万円以上の方が点数が高いんだろうといった想像がつきますね。
他にも、登記事項証明書の「目的」の部分はなるべく怪しくなさそうにしておいた方が良いでしょうし、主たる事務所が自宅よりも賃貸でオフィスを借りている方が点数は高いでしょう。
これらの項目は、設立時に決めることがほとんどです。法人の設立自体は簡単にできてしまいますが、銀行口座の開設も頭に入れて設立されることをおすすめします。