税金

103万の壁を意識すべきは配偶者よりも学生の子

「103万の壁」という言葉を聞いたことはないでしょうか。

パートで働く妻(男女逆でも同じ)の給与収入が103万円を超えると夫が配偶者控除を受けられなくなるというものです。

しかし、現在では税金上は妻のパート収入が150万円以下であれば同額の控除が受けられます。(「配偶者特別控除」という名称になります。)150万円を超えたとしても、控除額は減りますがいきなりゼロになるわけではありません。

[配偶者特別控除の金額]

配偶者のパート収入に関しては、税金よりもむしろ社会保険の壁を意識したほうが良いでしょう。

103万の壁を意識してもらいたいのは、配偶者よりもアルバイトをしている学生のお子さんです。

扶養控除はいきなりゼロになる

「配偶者特別控除」はありますが、「扶養特別控除」はありません。

扶養親族の給与収入が103万円を僅かでも超えると、その方を扶養している人は扶養控除を受けられなくなります。

扶養控除38万円が受けられないということは、所得税の限界税率が20%の方ですと住民税10%と合わせて

380,000×30%=114,000円

これだけの税負担が増えることになります。

子どもは意識してないことが多い

配偶者の方は大抵意識されています。

「社会保険の扶養の範囲で働こう」とか「壁とか意識しないでしっかり働きたい」とか方針を決めて働いておられる方がほとんどで、多くの方が夫婦で話し合って決めておられるのではないでしょうか。

しかし、子どもはなかなかそうはいきません。

学生の子がアルバイトをするにあたって、「扶養の範囲で働こう」と考える子はほとんどいません。知識がないので意識していないのです。

さらに、夫婦間ではそのような話をしても、子どもとはしていない家庭がほとんどのようですので、親も自分の子がアルバイトでどれくらい稼いでいるか分かっていないことが多いです。

なので、年間給与が105万円とか106万円というもったいないことになりがちなのです。

「扶養控除等の見直しについて」という文書

子どものアルバイト収入がどれくらいあるか知らない親は「まあ100万も稼いでないだろう」と考え、年末調整で扶養控除の申告をします。

翌年になって、扶養の対象となっている人の所得が超過していることを税務署や市区町村が把握して「扶養控除等の見直しについて」という書類を勤務先に送ります。

(※「給与支払報告書」というものが勤務先から市区町村に提出されるので、把握できるのです。)

勤務先が本人に確認して、間違いなければ年末調整を修正して不足税額を本人から徴収して税務署へ納めることになります。

ぶっちゃけ、これが来るとちょっとめんどくさいので、103万の範囲にしといてというのもあります。

子どもと話をしてみましょう

学生の子どもがアルバイトをすることになったとき、扶養控除の話をしてみましょう。

子どもに103万円を超えないようにしてもらうことで、年間の手取りが万単位で違ってきますし、税金は一生ついてまわるものなので、子どもに学んでもらう良い機会だと思います。

年間105万円や110万円の収入では1人で生活していくことはできません(ギリギリできないこともないかもしれませんが)。

103万円を超える収入があったとしても、扶養されていることに変わりないなら、扶養主の手取りを増やした方が子どもにとっても得策ではないでしょうか。

 

 

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