相続

2024年から贈与税が変わる!相続税対策も見直しの検討を。

令和4年(2022年)12月16日に公表された税制改正大綱では資産課税について大きな変更が発表されました。

ここ数年言われていましたが、ついにという感じです。

改正後は、これまであまり利用されていなかった相続時精算課税制度の利用が広がるなど、相続税対策についても大きな変化がありそうです。

本記事では、贈与に係る贈与税・相続税の改正について解説していきます。

前提知識(2種類の贈与税の計算方法)

贈与税の計算方法には「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」の2つがあります。

まずは、現行の暦年課税制度と相続時精算課税制度について説明します。

暦年課税制度

暦年課税制度とは、通常の贈与税の計算方法と考えていただいて差し支えないかと思います。(相続時精算課税制度を選択する届出をしない限り、この方法で計算するため)

暦年課税制度では、財産をもらった人が1年間にもらった財産の額の合計額(父と母など複数の人からそれぞれ贈与を受けている場合にも全て合計します)から基礎控除額110万円を差し引き、その残りの額に税率をかけて贈与税を計算します。税率は累進課税で、最低10%・最大55%です。

亡くなった人から相続又は遺贈により財産を取得した人が亡くなる前3年以内に暦年課税制度により贈与された財産がある場合には、相続財産に加算して相続税を計算します。(加算された贈与財産に係る贈与税額は、相続税の計算上控除されます)これを「生前贈与加算」といい、これによって、税金の計算上は相続により取得したのと同等になります。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、ざっくりいうと贈与のときは税金を払わず相続のときになって払う制度です。

相続時精算課税制度では、その選択をした年以後、相続時精算課税に係る贈与者とそれ以外の者からの贈与を区分し、相続時精算課税に係る贈与者からの贈与財産について贈与税額を計算します。

相続時精算課税に係る贈与者から1年間にもらった財産の額の合計額から特別控除額2,500万円(前年以前にこの特別控除額を使っている場合には前年以前に使った額を控除した残額)を差し引き、その残額がある場合には、残額に対し一律20%の税率をかけて贈与税を計算します。

相続時精算課税に係る贈与者が亡くなった場合には、それまでに贈与を受けた相続時精算課税の適用を受ける贈与財産を全て相続財産に加算して相続税を計算します。(加算された贈与財産に係る贈与税額は、相続税の計算上控除されます)文字通り、相続のときにまとめて課税されるというわけです。

暦年課税制度と違って、何十年前に贈与されたものであっても相続のときに持ち戻し計算されるのと一度精算課税を選択すると暦年課税制度に戻れないのが怖いところです。(行きはよいよい帰りは怖いなんて言われたりもします)

相続時精算課税制度を選択するには以下の条件があります。

①贈与者が60歳以上の父母または祖父母(直系尊属)であること

②受贈者が贈与者の推定相続人である18歳以上の子または孫(直系卑属)であること

③この制度を選択しようとする贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に相続時精算課税制度選択届出書と贈与税の申告書を提出すること

生前贈与加算が3年→7年に

暦年課税制度により贈与を受けた場合の生前贈与加算が亡くなる前3年以内から7年以内へ延長されます。

生前贈与加算は、基礎控除額110万円以内で贈与税がかからない贈与についても適用されるので、実質的に相続税の増税となりますし、相続のときの預金調査が大変になります。

一応多少の緩和措置があり、延長した4年間の贈与については総額100万円を控除することができます。

相続時精算課税制度にも110万円の基礎控除

相続時精算課税制度を選択した場合にも年間110万円の基礎控除額を控除することができるようになります。また、相続税の計算上加算される金額も上記の基礎控除額を控除した残額とされます。

相続時精算課税制度で110万円以下の贈与について相続財産に加算する必要なしという件については、税制改正大綱を読む限りでは、期間の定めがないように読めます。

ということは、亡くなる前7年以内、極端に言うと亡くなる直前の贈与であっても精算課税で110万円以内であれば相続財産に加算しなくてよいということでしょうか。

そういうことであれば、亡くなる前7年間の贈与については暦年課税制度よりも相続時精算課税制度の方が有利ということになります。

実際に法律ができてからの最終確認は必要ですが、大綱を読む限りではそのようになりそうですので、これまであまり利用されていなかった相続時精算課税制度を真剣に検討する必要がでてきそうです。

相続時精算課税制度による贈与財産が災害の被害を受けた場合

相続時精算課税制度による贈与により取得した土地又は建物が災害によって一定の被害を受けた場合には、相続財産に加算される金額は当該贈与財産の価額から被害を受けた部分の金額を控除した残額とすることになります。

現行では、災害によって被害を受けたとしても、贈与財産の贈与時の価額を相続財産に加算する必要があります。

これは妥当な改正かと思います。

改正時期

これらの改正時期はいずれも令和6年(2024年)1月1日となります。

「生前贈与加算が3年→7年」と「相続時精算課税制度にも110万円の基礎控除」については、令和6年(2024年)1月1日以後の贈与について適用され、

「相続時精算課税制度による贈与財産が災害の被害を受けた場合」については、令和6年(2024年)1月1日以後に生ずる災害により被害を受ける場合について適用されます。「災害の被害を受けた場合」については、精算課税による贈与自体はそれより前にされたものであっても適用されるということです。

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