前期の法人税額が20万円を超えると、事業年度の中間で予定申告と納税をしなければいけません。納めるのは基本的に前期法人税額の半分です。
例えば、前期の年間法人税額が30万円だったとすると、半分の15万円を中間で納付することになります。
また、法人税は税務署へ申告納付しますが、他にも都道府県税事務所と市町村役場にも申告納付しなくてはいけません。
通常は、決算申告したのと同じところに申告納付するのですが、途中で移転した場合はどうなるのでしょうか。
当記事では、このような場合に「どこに予定申告するか」、「計算はどのようにすれば良いか」を解説していきます。
※支店はなく、本店のみの法人が完全移転したことを前提にしております。
税務署(法人税・地方法人税・消費税)
税務署に対して申告するものについては、移転先(熊本)の所轄税務署へ予定申告と納税をします。
予定申告で納付すべき税額は前期の税額の半分です。
税務署に関しては、国税を取り扱っていますので、どの税務署に納付しても最終的に国に入るということで、申告するときの場所の所轄税務署へ申告納付すれば良いこととなっています。
※ 消費税に関しては3月中間申告や1月中間申告もありますが、考え方は同じです。
県税事務所(法人県民税・事業税)
県税事務所については、移転前と移転先の両方に申告納付が必要です。
計算は次の通りです。
移転前(福岡県)
事業税…前事業年度の事業税額の半分
県民税法人税割…前事業年度の法人税割の半分
県民税均等割額…当期の福岡県均等割額×算定期間中(4/1~9/30)において福岡県に事務所等を有していた月数/12
(=21,000円×3/12=5,200円)
※1 21,000円=資本金1,000万円以下の法人の福岡県均等割額
※2 3/12=1ヶ月未満の端数は切り捨て
※3 5,200円=100円未満切り捨て
移転後(熊本県)
事業税…なし
県民税法人税割…なし
県民税均等割額…当期の熊本県均等割額×算定期間中(4/1~9/30)において熊本県に事務所等を有していた月数/12
(=21,000円×2/12=3,500円)
※1 21,000円=資本金1,000万円以下の法人の熊本県均等割額
※2 2/12=1ヶ月未満の端数は切り捨て
国税と違って、地方税はその法人が事業所を置いていた自治体に入りますので、両方に申告納付が必要になります。決算申告の際にも両方に申告納付することとなり、移転前の県に納め過ぎになっていたら還付されます。
市役所(法人市民税)
県税と同じく、移転前と移転先の両方に申告納付が必要です。
計算は次の通りです。
移転前(福岡市)
市民税法人税割…前事業年度の法人税割の半分
市民税均等割額…当期の福岡市均等割額×算定期間中(4/1~9/30)において福岡市に事務所等を有していた月数/12
(=50,000円×3/12=12,400円)
※1 50,000円=資本金1,000万円以下で従業者数50人以下の法人の福岡市均等割額
※2 3/12=1ヶ月未満の端数は切り捨て
※3 12,400円=100円未満切り捨て
移転後(熊本市)
市民税法人税割…なし
県民税均等割額…当期の熊本市均等割額×算定期間中(4/1~9/30)において熊本市に事務所等を有していた月数/12
(=60,000円×2/12=10,000円)
※1 60,000円=資本金1,000万円以下で従業者数50人以下の法人の熊本市均等割額
※2 2/12=1ヶ月未満の端数は切り捨て